読んで楽しむクラシック

個人的備忘録も兼ねて、より音楽を楽しめるようにな文章を書きたい…そんなブログです。

LPやハイレゾの音はなぜ「良い」のか?私的考察③

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ここからは高音の再現度以外でのLPの良さについて考える。


①SN比


SがSound、NがNoiseである(常識?)雑音と楽音の音量レベルの差である。CDとLPではどちらが優れているかというと…当然、CDである。CDはほとんど雑音がないのに対してLPでは針がレコード面を擦る音や溝に付着した埃などが針をかすめるプチプチ音が避けられないからだ。が、しかし実はSN比が少ない(雑音が大きい)方が音が良く聞こえるのではないか?と思われる。



【ゆっくり解説】「錯聴の世界」を体験してみよう。


2つ目の連続聴効果である。雑音が多く混じっているLPからは本来聴こえない音を耳が補完しているとは考えられないだろうか?例えば倍音。高音のみならず低音も豊かに聴こえるという意見が多いのは低音の深い倍音(倍音は上だけではなく下も鳴っている)が補完されて聞こえるからなのではなかろうか。ちなみにLPは針を擦ってその場で演奏しているという考え方もできるため、再生時に倍音が発生している、なんて説もある。



②ステレオを一本の針で鳴らすということ


LPは原理的に一本の針で溝を擦って音を鳴らしているが、溝の片側ともう一方側に左右チャンネルの音が入っているためにステレオ再生が可能だが、何せ針が一本なので若干左右の音が混じってしまう。これが生演奏に近いと感じられる原因ではないかと考える。現実のオーケストラの演奏は楽器同士の響きが溶け合うためCDほど分離の良い音にはならないのである。


結論、オーケストラ演奏を聴く場合はCDよりLPの方がマスターテープには不忠実だが、生演奏には近いと筆者はかんがえる。あくまでマスターテープの再現度は分離の良さや雑音の少なさからCDの方が優れていると思わざるをえないが…


ちなみに…全ての音が平均律であり、実は微妙にあっていない和音を奏でるピアノの場合は音程が厳密にはあっていないためオーケストラとは異なりかなり音が分離して聴こえるため、ピアノだとCDの方が良い(生演奏に近い)ことが多い。

LPやハイレゾの音はなぜ「良い」のか?私的考察②

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さて、なぜLPやハイレゾは音が良いと感じるのか、本題に入ろう。


①CDのスペックについての勘違い(サンプリング周波数)


そもそもCDはおおよそ22hHzまで音が入っていると言うけれども…厳密には違う。あくまでサンプリングした結果22kHzまでギリギリ音になるだけであって決して22kHzがまとも音で入っているとは思わないことだ。下の図を見ていただきたい(手書き!笑)

わかりずらいが…縦線がサンプリング周波数(CDの場合44.1kHz、1秒に44100回データを取る感じ)
音というのは上のような波で表され、上と下の振幅があって初めて音として記録される。記録されたデジタルデータは下の画像のようになる


低音(振幅が遅い)ほうがデータがたくさん取れ、高音になればなるほど採取できるデータが減少し、ある一定以上の高さになると振幅を記録できなくなる。要するにが作れなくなるとその音は記録不可能になるということだ。さっきの画像だと一番下。それがCDの場合おおよそ22kHzというわけだ。


これでわかるのは、CDは高音になればなるほど再現度が低くなるということである。上の画像で言うならば〜がどんどんカックカクになるから。高音がうるさく感じたり、聴き疲れを覚える、なんてCD評、よく聴くなぁ!?


LPやハイレゾの音が良く感じるのは高周波が入っているから、ではなく高音の再現性が高いから。というわけ。多分。逆にCDをフォローするならば音がカクカクな分、クリアーに聴こえたり、LPよりも解像度は高く聴こえるはずである。音の良さ=解像度とするならばLP


続きはLPについて。高音だけが音の良さの原因ではないように思えるから…

LPやハイレゾの音はなぜ「良い」のか?私的考察①

まず前提として、筆者は通常のCDよりもLP、SACDをはじめとしたハイレゾ音源の方が音が「良い」ことが多いと考えている(当然、例外あり)。


「良い」というのは生演奏の印象に近い、という意味で使用させていただき、CDの方が「良い」と感じられる方々は「良い」の定義が私と異なるか、価値観が異なる可能性が高いため、以下の記事は完全に時間の無駄であるので悪しからず。


LPやハイレゾはなぜ音が良いのか?よく言われるのがCDではカットされている人間には聞こえない周波数20kHz以上の音が入っているからということらしいのだが、残念ながらこの話は間違い、と言わざるを得ない。まず初めにこのことについての根拠について述べる。


①そもそも録音用のマイクに高周波数の音が入らない


例えば伝説となっているデッカツリーという独特のマイク配置に使われたマイクはNEUMANN(ノイマン)のM50というものであったが、そちらのマイクの周波数特性(いわばスペック)は20Hz〜20kHzである。あれれぇおかしいぞう?


70年代、ドイツグラモフォンをはじめとするメジャーなレーベルで使用された同じくNEUMANNのU47は40Hz〜16kHzであり、もっと言うと今でも使われることの多い後継機であり定番U87でも20Hz〜20kHzである。あれれぇ?以下略。


このことをもってしてもLP全盛期、ハイレゾ復刻の中心である1970年代までの録音に高周波が入っているはずがないのである。もはやこれだけで根拠としては充分だがLPに関してはこんな理由もある。


②そもそもLPはノイズカットのために周波数をCD以上にカットしている。


残念ながら…アナログレコードの溝に音を刻む際、ノイズ低減のために20kHz以上の音は全力でカットされているのである!(RIAA…簡単に言うと低音は溝が大きいからそのまま入れると再生時に針が飛ぶかもしれないから防ぐ)もっと言うと15kHzあたりから徐々に減退…あれ?CD以下じゃないか?


おわかりいただたけただろうか?アナログ時代のLP、ハイレゾについてメーカーが言っていることは真っ赤っかな嘘っぱちということだ。少なくともアナログ時代の録音を聴くにあたりハイレゾ対応のスピーカーやイヤホンは不要であると断言する(最新録音聴くならあっても良いかも?)。


だがしかしアナログ時代のLPやハイレゾの方が音が良く感じることが多いのも事実。ではなぜそう聴こえるのか?本題に入っていこうと思う。続く。