読んで楽しむクラシック

個人的備忘録も兼ねて、より音楽を楽しめるようにな文章を書きたい…そんなブログです。

指揮者考①

憧れる人も多い魅惑の職業、指揮者。

我が国では偉大な教育者であった齋藤秀雄氏によって体系化された指揮の基本動作がまとめられた教本が存在する(ポチるならこちら)のだが、簡単に言うと音の出だしを揃えたいなら指揮の振り下ろす打点をハッキリし、滑らかに演奏してほしいときは滑らかに動かす、音量の強弱に比例して指揮の動きにも強弱をつける、現在の箇所が何拍子で、今何拍目か動きで示す、演奏家たちに合図を出す、などなどが具体的な図とともにまとめられていてプロの指揮者はまず確実にそういった技術を身につけているのが当たり前というわけ。


しかしながら…古今東西の指揮者たちは癖なのか音楽的理由なのかはたまた見た目を気にしてか、振り方は十人十色。とはいえ、下記の通りおおよそ3通りに分類可能である。


①一般的な指揮者。ただ拍子を取るだけではなく、棒でどう言った音楽を目指すか示してくれる。


②一般的な指揮よりもより目指す音楽の表現を重視するタイプ。若干打点や拍子が不明瞭なことも。


③最低限の合図や拍子はとるが、指揮で音楽表現をあまり行わないタイプ




①の指揮者が世界で1番多いであろうことは明白。職人タイプといえ。指揮の技術が高くリハーサルも効率的で有能な人物であればオーケストラに1番好かれるだろう。ちなみにある程度しっかり指揮してくれるが、響きや演奏の流れを重視するためにあえて打点を不明確にする指揮者もいる。


②の場合、職人タイプの普通の指揮者のように必ずしもわかりやすい指揮をするわけではないので能力が低ければ間違いなくオケから顰蹙を買うだろうが、素晴らしい演奏が実現できれば職人タイプ以上に畏怖の念を持たれることになる。それは一種の魔術だからであり、カリスマ性を感じさせるからであり、波長がバッチリあった人間には崇拝すらされるだろう。いわば魔術師タイプ。とはいえ、しっかりと触れないわけではないので、指揮者が重要な現代曲などではしっかりビートを刻むことがほとんど。


③のタイプは暴君タイプとでも言えるか。該当する指揮者は、指揮ではあまり語らないため、リハーサルで徹底的に自分の目指す音楽を仕込むために非常に厳しく長いリハーサルを行う人物が多い。本番時にはぶっちゃけ指揮台に立たずとも勝手に思い通りの演奏が可能なレベルに達していると思われるため、演奏会の成功率は極めて高そうだが、ほぼ確実にオケからは嫌われるタイプ。


皆さんが好きな指揮者はどちらに該当するだろうか。